――トーニチの調査結果を、行政はどのように道路計画に生かしているのですか?
堀江:ぜんぜんしていないよ。「このあと何をやるのですか?」と区に聞いたら「これで終わりです」と言っていた。
――じゃあ何のために作るのでしょうね?
堀江:税金の無駄遣いですよ、はっきり言って。もしも本当に投資効果があるというのならやればいいけれど……。
――「交通量調査をして、費用便益分析をして、その上で道路を作る必要が本当にあるのかを検討してから道路計画を作る」という本来のやり方によっては現在持ち上がっている道路計画は動いていない、ということですね。
本来あるべき道路計画のイロハに従わない「54号線」計画を、なぜ行政は優先的に進めようとしているのでしょう?
堀江:うーん。この「54号線」計画は、なぜやるのか理解が出来ないんですよ……。
――そうですか。となるとこれは、道路計画の必要性があるから動いてきた計画ではない、という風にも言えるのでしょうか?
堀江:そうですね。
――区はなぜそこまでこの計画に固執するのでしょう?
堀江:うーん。僕もそれはわかりませんね。井の頭通りを4車線に拡幅しているから、54号はいらないと思うのですが……。
――あえて「54号線」を通すメリットは、どこにもないのでしょうか? 例えば渋谷から環状7号線へ抜ける道が出来ると便利だということなど、考えられることはあるように思うのですが。
堀江:渋谷からの通り道は淡島通りや井の頭通りがあるから、それらの道路のキャパシティがまだ一杯ではないのだから、必要ないです。また、人口が減り、老齢化して、少子化、となると、交通量はもっともっと減るんじゃないでしょうか。だからもし道路を作るとなると、代替案をもっと検討するべきだろうね。バスや鉄道の新しい使い方の検討もすべきだと思うし。道路はこれ以上作らない、という方向に進む方がよいと思いますね。税収にそんな余裕はない筈です。
――本日は、いろいろなお話が伺えて、非常に参考になりました。どうもありがとうございました。
堀江照彦
1932年、東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業。テキサスA&M大学大学院経済学研究科修士課程終了。トランスポートエコノミストとして内外のコンサルタントに加わり、途上国案件のフィージビリティ調査に従事。また世界銀行、アフリカ開発銀行などでは、投資案件を審査・評定する立場も経験している。途上国での実務経験は30年。主たる担当分野は、交通需要予測と道路投資の経済効果分析。
※堀江さんがまとめられた「都市計画道路補助54号線計画の交通量推計と費用便益分析」(要約版)[PDFファイル:996KB] は署名が1万を超えた際の経過報告とともに、行政に提出しました。